徳島すぎの話(4)人にやさしい徳島すぎ

耐久性に優れ、心地よい徳島すぎ

徳島すぎは耐久性に優れ、その香りや手触り、木目などは、人に心地よさを与えることが、
研究で明らかにされてきています。
徳島県では、徳島すぎについて様々な観点から研究を重ね実証しています。

 スギの丸太や柱の断面を観察すると、色の濃い「赤み」と呼ばれる心材とその回りの「白太」と呼ばれる辺材に区別できます。特に徳島すぎの心材は、美しい淡赤色をし、昔からその色艶は大きく評価をされてきました。
 樹木には、樹皮のすぐ内側に形成層という細胞分裂が活発な部分があり、形成層の内側に「木部」を、外側に「樹皮」を作りながら、幹を太らせ、年輪を刻んでいきます。
 そして、年齢を重ねると心材部が多くなってきますが、辺材部の組織は、あるとき死細胞と化し、そのとき虫や菌類の繁殖を防ぐために耐久性成分を放出します。それが「心材化」と呼ばれる現象です。
 こうした心材の成分は、シロアリや腐朽菌に対して抵抗力を持ち、たとえばヒバなどに含まれるヒノキチオールは耐久性成分として広く知られています。徳島すぎ心材の耐蟻性能についても、森林林業研究所が京都大学生存圏研究所と実験しています。気温28℃、湿度75~80%の環境下でイエシロアリ個体数50~100 万頭が生息する飼育槽に、スギ心・辺材、ヒノキ心材、ベイマツ心材、ベイツガ心材を土台角に近い寸法に製材した試験体を3か月間設置した結果、スギ心材はヒノキ心材と同等の性能を示しました。

心材実験

 なおスギ心材にはときどき黒い色をしたものが現れます。黒心と呼ばれるものです。

赤心材と黒心材

 この黒心の耐蟻性能についても、森林林業研究所が徳島大学、徳島文理大学らと実験し、優れた殺蟻性能と抗菌性能を実証しています。樹齢80~90年生の葉枯らし乾燥材で実施した実験から、スギ黒心材にクリプトメリオンなどの極めて強い殺蟻成分が含まれるとともに、フェルギノールなどの高い菌成分が多く含まれ、その性能はヒノキチオールを大きく上回ることがわかりました。植物は傷つくとフラボノイドなどの色素成分がつくられることが知られており、黒心材が着色しているのもなんらかの防御機構が働いていると考えています。
 このような樹木のメカニズムは何とも合理的です。限られたエネルギーを必要箇所だけに効率的に使うために心材化を進め、心材部に耐久性を持たせることで、大きな樹体を支えることができるのです。

徳島すぎの電子顕微鏡写真

 上の写真は徳島すぎの電子顕微鏡写真です。徳島すぎの細胞がハニカム(蜂の巣)構造をなし、熱伝導率の低い空気層を多く含み、細胞自身も熱伝導率が低いことから、熱を奪いにくい肌に優しい素材となります。
 こうした徳島すぎで囲まれた居住空間は温かく、その香りは私たちを優しく包むのです。

スギ黒心抽出成分によるイエシロアリの死虫頭数の推移

徳島すぎ心材表面の大腸菌に対する殺菌作用